2024年10月25日
「ポジショニング」この言葉を耳にしたことはありますか?神経難病を患っている利用者様にとって、これは非常に重要な行為となります。適切な体位や姿勢は、利用者様の心身の健康や生活の質(QOL)を向上させるための鍵となります。
この記事では、ポジショニングの基本から詳しくご紹介していきます。身の回りの大切な方のケアに、この知識が活かされることを願っています。ぜひ最後までお付き合いいただけると幸いです。
1. ポジショニングとは?
1 定義
ポジショニングは、身体の状態やニーズに合わせて、最適な体位や姿勢を見つけ、それを維持・調整するために工夫や管理をする技術や手法のことを指します。
わかりやすく言うと、脳卒中で右片方の手足が動かなくなった方には、右片方側を上にして寝かせるなどの配慮が必要です。
あくまで一例ですが、症状だけではなく、個人の希望など様々な要因が組み合わさりポジショニングを検討する必要があります。
2 目的
大きな目的は「安楽・合併症予防・廃用症候群の予防」となります。また、気分転換などもとても大切な目的となります。
安楽:利用者様が心地よく過ごせることです。痛みや不快感を軽減し、リラックスした状態を保つことです。
合併症予防:不適切な体位による健康問題や合併症を防ぐことです。
廃用症候群の予防:長期間の不動で筋肉や関節が衰えることを防ぐことです。
気分転換:同じ姿勢のままでいると、心身ともにストレスがたまるため、気分転換としての体位変更が必要です。また、見える景色が変わることも要素の一つです。
私たちでも長時間座っていると腰が痛くなるため、足を動かしたり、背もたれの角度を調整したり、立って体を動かしたりして安楽を保とうとしています。
合併症予防では基本的に2時間以内の間隔で体位変換を行うように勧められています。ただし、粘弾性フォームマットレスやエアマットでは4時間以内の間隔でもよいと言われています。※1褥瘡・予防ガイドライン(第4版)
2. 安楽の意味~安楽とは何か?~
安楽とは“心身の苦痛や生活の苦労がないこと 引用:Wikipedia”とされています。
つまり、安心して過ごせる状態を指します。また、心身ともにリラックスし、日常の生活を快適に過ごすことでもあります。
3. エアマットと寝床環境
1 エアマットの構造
エアマットの大きなメリットとリスクは以下のとおりです。
メリット:体を包み込む
デメリット:発汗の原因となるリスク
エアマットの特徴は身体を均等に支えるための特別な構造です。そのために体を沈め、包み込んでいます。しかし、身体の一部が沈みすぎると、通気性が悪くなり、発汗の原因となります。
2 寝床の気候(マイクロクライエット)
寝心地の良い環境を整えるために以下の点に注意が必要です
・寝具や寝衣が形成する寝床の環境
・一般的な温湿度と気流の条件
寝床環境は寝床気候(マイクロクライエット)といわれ、寝具や寝衣によって形成される就寝時の気候を指します。
エアマットを使用する際に注意すべきことがあります。エアマットは空気が常に巡回していますので気流によっては不快に感じる方がいらっしゃいます。一般的に温度 33±1℃、湿度 50±10%、不感気流 0.3m/秒が良いと言われています。そのため、寝具や寝衣によって、適切な温度や湿度、気流が保つことが必要です
4. ポジショニング技術
1 体位変換の重要性
長時間同じ体位でいると、皮膚に圧力がかかり、創傷や褥瘡のリスクが高まります。特に、後頭部や背中、お尻などの骨が出っ張っている箇所は圧迫が多くなる部位で褥瘡ができやすい為、定期的な体位変換で予防必要があります。
2 三大要素(圧力、摩擦、ズレ)の詳細
圧力:体の一部がベッドや椅子に接触している部分に生じる力をいいます。
摩擦:移動や体位変換時に、皮膚がベッドなど他の物体とこすれること。
ズレ:身体の一部が移動する際、皮膚や筋肉が歪むこと。
3 安楽の追求とサポート
自分で体を動かすことができない利用者様にとって、適切な体位は心身の安楽を追求する上で非常に重要となります。
痛みがあると力が入ってしまいます。そうすると関節が動かしづらくなり、骨の変形や拘縮となってしまいます。
そのため、利用者様の痛みを和らげることで、リラックスすることができます。リラックスすることで、力が抜けてきますので、変形や拘縮といった症状を和らげることに繋がり、とても重要なポイントとなります。
5. ポジショニングとQOL(生活の質)-ケアの最終目標-
私たちが大切にしていることは利用者様のQOLを向上させることです。そのためには、安楽な体位変換やポジショニングを通じて、心身の休息を得ていただくことが大切です。そうすることで次の活動に備えることができると思います。その結果、利用者様がよい生活が送れるように取り組んでいます。
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