「関わる人みんなで、同じ方向を向いて歩みたい」
ノイエのリハビリテーション課を牽引する課長。進行性の疾患や難病という「確立された正解がない」領域で、彼女が大切にしているのは「諦めずに考え抜く」というプロとしての姿勢でした。
スポーツ分野から難病ケアへ至る思考の転換点、そして「失敗を恐れないチーム」を作るためのマネジメント論まで、ご本人の言葉でたっぷりと語っていただきました。
目次
「寄り添う」とは、綺麗事じゃない。プロとして考え抜くこと

課長さんが仕事をする上で、一番大切にしている価値観を教えてください
課長:「『関わる人みんなで同じ方向を向いて協力すること』ですね。これは多職種連携でも、プライベートの人間関係でも変わりません。
よく医療や介護の現場で『利用者さんに寄り添う』と言いますが、これってすごくまとまりのいい、綺麗な言葉だと思っているんです。でも、私が大事にしたいのは『じゃあ、具体的にどう寄り添って、どんな行動を起こすのか』ということ。私にとっての『寄り添う』は、医療従事者としての専門知識を活かし、諦めずに考え続けることなんです」
「考え続ける」とは、具体的にどのようなことでしょうか?
課長:「例えば以前、嚥下障害(飲み込みの低下)が進行した利用者さんがいらっしゃいました。ご本人は『普通のご飯を食べたい』。でも、そのままでは栄養不足や誤嚥性肺炎、窒息のリスクがある。
そこで私たちは、ご本人やご家族、関わる支援スタッフと何度も対話の機会を設けました。最初は現実を受け入れてもらえず、私自身も悩みました。でも、専門家としてリスクと可能性を提示し、徹底的に話し合ったんです。
その結果、最終的にご自身の意思で『分離術』を選択されました。現在は、必要な栄養を経鼻経管から安全に摂りつつ、”お楽しみ”としての食事を続けることができています。『どうしたいか』を聞き出し、プロとして最善の道を共に探る。これが私の思う『寄り添う』姿勢です」
スポーツと難病。真逆に見えて、根本は全く同じだった

理学療法士を目指した当初は、スポーツ分野に関心があったそうですね
課長:「はい。高校時代に陸上部で怪我をして通院した際、担当してくれた理学療法士に憧れたのがきっかけです。
スポーツ領域は『機能回復』、今の難病領域は『進行性の疾患、機能維持が目的』。一見すると真逆のアプローチに感じるかもしれません。でも今振り返ると、明確な共通点があることに気がついたんです。
それは、『現状を評価し、目標を設定して、理想に近づけるようにアプローチする』という理学療法の根本的なプロセスは全く一緒だということ」
アプローチのプロセスが同じなのですね
課長:「そうです。スポーツ分野で培った『もっと速く走りたい、試合に出たい』という向上心や諦めない気持ちは、今の現場にも生きています。
難病の進行による機能低下があっても、『出かけたい』『食べたい』『伝えたい』という願いがある。個別性が高く難しい状況でも、諦めずに考え続けることでそれを達成できた時の喜びはひとしおです。領域は違っても、考えるプロセスそのものが私のやりがいにつながっています」
「失敗したって構わない」プロセスを尊重するリーダーの覚悟

現在、課長としてチームをまとめていますが、難しさを感じることはありますか?
課長:「スタッフみんなで『同じ方向を向く』のは、すごく難しいことです。それぞれ価値観も、今までの臨床経験も違いますから、同じ利用者さんを担当しても進め方が違うのは当然なんです。
だからこそ私は、ゴール(目標)は共有しても、そこに至るプロセスは何通りあってもいいと考えています。スタッフそれぞれの思考過程を尊重し、『なぜそう考えたのか』を大切にするようにしていますね」
具体的に、リーダーとして意識している関わり方はありますか?
課長:「まずは『やってみよう』と背中を押すこと。そして、上手くいかなかったら『なぜ?』を一緒に考えて、次の方法を探すことです。
スタッフの『やってみたい』を引き出しつつ、考えられるリスクや多方面への影響を一緒に考え専門家として事前に提示する。一緒に考えることで、『失敗が怖くない状態』を作ることが、リーダーとしての私の役目だと思っています」
ライフステージの変化と、これから一緒に働く仲間へ

ご自身の価値観のルーツと、今後の目標を教えてください
課長:「高校生の頃に培った部活動での経験として『仲間と協力して目標に向かう楽しさ』が、私のすべてのルーツです。結婚、出産、子育てとライフステージが変わる中でも、会社のサポートのおかげで、今もこうして大好きな仕事を続けられています。だからこそ、私自身が後輩たちのロールモデルとなれるよう、これからも進化していきたいですね。
最後に、これから一緒に働く仲間や後輩たちへ。
最初はみんな、考え方もやり方も違って当たり前です。失敗を恐れる必要はありません、上手くいかなかったら私が一緒に『なぜ?』を考えますから。
正解がない領域だからこそ、利用者さんのために『やってみたい』と思えることを、チーム全員で面白がりながら、一緒に探求していきましょう!」
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