2021年9月12日

発熱について

発熱について

発熱の初期対応に関連して、
発熱」とは一体何なのか?
看護師が重要と考える、「発熱」の要素をお伝えします。

発熱とは

体温は、正常時は体熱と放散のバランスが取れていて一定に保持されています。
身体へのダメージによりバランスが乱れることで、体温が上昇する。この現象が「発熱」です。

発熱のメカニズム

発熱のメカニズムについて示しました。しかし、必ず1-4までのメカニズムを通るわけではなく、途中のメカニズムを通って起こる場合もあり、様々なケースがあります。

  1. 外傷・熱傷などにより、外因性発熱物質(外毒素・エンドキサシン)が体内へ侵入したり、増加する
  2. マクロファージが暴走し、貪食が始まる
  3. 内因性発熱物質(インターロイキン1、インターフェロンなど)の産生が誘導される
  4. 発熱物質は脳血液関門を通り抜けることができなため、脳に直接侵入することはないが体温調節中枢である視床下部に作用することでPG(プロスタグランジン)が産生される
  5. PGが体温調節中枢を高温側へシフトさせることにさせることによって、体温の上昇(発熱)が誘発される

発熱の原因

  • 原因疾患としては、外傷(事故や傷)、免疫低下・免疫不全(白血病・AIDS)からの感染
  • 脳疾患による脳浮腫(脳腫瘍・脳出血)による機械的刺激
  • 神経症・ヒステリーによる精神的刺激
  • 膠原病・アレルギーなどからの内因性発熱物質の産生や代謝性疾患(痛風・甲状腺機能亢進症状など)がある

発熱に伴って生じる症状

  1. 悪寒・戦慄
    体温中枢のセットポイントが上昇している間、熱の放散と産生のバランスが乱れ、皮膚血管や立毛筋が収縮することによって生じる
  2. 全身倦怠感・易疲労感
    発熱により、代謝が更新して(体温1℃上昇で7-13%代謝の増加栄養素が多く消費して体力の低下起こる
  3. 発汗増加→脱水、皮膚・粘膜の乾燥(口渇)
    代謝が亢進し、血液量・呼吸数が増加することにより不感蒸泄が増加して起こる。また、体温調節中枢の興奮により発汗中枢が刺激されることがある
  4. 食欲低下
    体温調節中枢の興奮により、近くにある空腹中枢が抑制され、胃腸運動の低下・消化器液分泌が低下することにより生じる
  5. 頭痛、関節痛
    発熱に伴い、代謝が亢進し、血液量・呼吸数も増加する。血管拡張・血流の鬱滞・電解質の異常が出現して、中枢神経系や末梢知覚神経への刺激が起こることから生じる

注意するポイント

ケアのポイント

  • 発熱の程度
  • 呼吸器症状(呼吸苦・痰が出るかどうか)の有無
  • 食欲や食事摂取量
  • 水分の摂取・排泄量
  • 睡眠状態

安静な姿勢で過ごす

高熱の時は安静を促して横になってもらうようにし、本人にとって過ごしやすい楽な姿勢をとる
吐き気が増すことがあるので、嘔吐には注意する

発汗を促す

  1. 室内の環境を整える
    室温は皮膚温より低温にする、換気を意識して窓を開けたり扇風機・エアコンでこまめに調整する
  2. 衣類の調節
    体を締めつけない、通気性・吸水性の良い衣類は掛け物を身につける。衣類は頻回に交換し、身体の清潔に保つ

発熱は、さまざまな病気の症状の一つです。
そのため、発熱だけでは病気の鑑別は難しいので
自己判断はせずに、医療機関の受診をするようにしてください。

MC訪問看護ステーション

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意思伝達装置/OriHime eye+Switch

視線やわずかな動きで思いを言葉に変える、社会参加を実現する革新的な意思伝達装置。視線入力やスイッチ入力で文字を選び、合成音声でスピーチができるため、ALSなどの神経難病の方々も自由に意思を伝えられます。家族や介護者とのコミュニケーションはもちろん、テレビ操作やインターネット利用など、日常生活の多くの場面で活用可能。OriHemeにはカメラやマイク、スピーカーが搭載されており、周囲を見渡したり、会話にリアクションするなどその場にいるようなコミュニケーションを実現し、生活の質を大きく向上させる可能性を秘めています。

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透明文字盤

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