2025年7月5日
“遠回り”と“自己満足”の先に見た光。ある施設長が目指す『いつでも傍に居る』介護とは

皆さま、日々の業務、本当にお疲れ様です。
目まぐるしく変化する社会の中で、私たち介護・福祉の現場も、その変化の波と無縁ではいられませんよね。
「最近、なんだか新しい技術や考え方がどんどん出てくるなぁ…」
「利用者さんのニーズも多様化しているし、どう応えていけばいいんだろう?」
そんな風に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
世の中を見渡せば、プログラミングやデータ分析といったスキルが、一部の専門職だけでなく、多くの仕事で当たり前のように求められる時代になってきました。小学校でもデータサイエンスの授業が始まるなど、教育の現場も大きく変わろうとしています。
「でも、それはIT業界や教育の話でしょう? 私たちの仕事とは少し違うのでは?」
そう思われるかもしれません。しかし、私は、私たち介護・福祉の現場にこそ、今、「変化に対応するために学び続ける力」が、これまで以上に求められていると感じています。
今日は、なぜ私たちが学び続けることが大切なのか、そして、私たちの現場で具体的にどのような変化が起き、どんな学びが必要とされているのか、一緒に考えていけたら嬉しいです。
皆さんの施設では、日々のケア記録や利用者さまの状態に関する情報を、どのように活用されていますか? もちろん、日々の情報共有やケアプラン作成に役立てていることと思います。
それに加えて、今後はこれらの情報を「データ」として捉え、分析する視点が重要になってくるかもしれません。
例えば、日々のバイタルデータや活動量、食事摂取量などの変化を継続的に分析することで、体調変化の予兆を早期に捉えたり、より利用者さま一人ひとりの状態に合わせた効果的なケアプランを検討したりできる可能性があります。
「データ分析」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、特別なスキルがなくても、例えばExcelのような身近なツールで記録を見える化するだけでも、今まで気づかなかった傾向や課題が見えてくることがあります。大切なのは、「データを活用して、もっと良いケアができないか?」と考えてみる姿勢なのかもしれません。
また、テクノロジーの進化も、私たちの働き方やケアの質を大きく変える可能性を秘めています。
当社の施設では、iPadを使ったスイッチコントロールや視線入力といったコミュニケーション支援技術を積極的に導入し、言葉での意思疎通が難しい利用者さまの「伝えたい」気持ちをサポートしています。
他社様では、見守りセンサーや介護ロボット、オンライン面会システムなど、様々なデジタル技術が現場にも導入され始めています。もちろん、導入には課題もあります。オンライン配信一つとっても、「タブレットの性能が古くて画質が…」なんて声も聞かれますし、新しい機器の操作に慣れるまで時間もかかります。
しかし、これらの技術は、決して私たちから仕事を奪うものではなく、むしろ業務の負担を軽減し、利用者さまとの時間や、より質の高いケアに集中するための「味方」 になってくれるはずです。大切なのは、新しい技術をただ導入するだけでなく、その技術の特性を理解し、現場に合わせて効果的に「使いこなす」ための学びではないでしょうか。
そのためには、もしかしたら、専門的なプログラミングの知識までは必要ないかもしれませんが、システムがどう動いているのかを理解したり、情報を整理して論理的に考えたりする「情報分析スキル」や「プログラミング的な思考」 のようなものが、これからの私たちには求められてくるのかもしれません。
当社では、職員の方々が自ら積極的に学びの機会を持っています。
これらは全て、「より良いケアを提供したい」「時代の変化に対応したい」という想いから生まれる、まさに「学び続ける姿勢」 の表れです。
さらに、利用者さまの「海へ行きたい」「思い出の場所へ行きたい」といった「願い」を実現するために、既存の方法にとらわれず、コミュニケーションツールを活用したり、外部サービスと連携したりと、様々な工夫を凝らしています。これもまた、現状に満足せず、常に新しい方法を模索し、学び続けることから生まれる素晴らしい実践だと考えています。
以前、「教師は自分が学んでいないことは教えられないから、リスキリングが必須」という意見を聞いて、ハッとしたことがあります。これは、私たち介護・福祉の専門職にも、全く同じことが言えるのではないでしょうか。
社会はこれからも、きっと私たちの想像を超えるスピードで変化し続けます。その変化に戸惑い、不安を感じることもあるかもしれません。
しかし、変化を恐れるのではなく、「学び続ける」ことで変化に対応する力を身につけることができれば、それは私たち自身の成長に繋がり、ひいては、私たちがサポートする利用者さま一人ひとりの、より豊かな生活に繋がっていくはずです。
新しい知識や技術を学ぶことは、決して楽なことばかりではありません。でも、昨日できなかったことができるようになる喜びや、新しい視点を得る楽しさもありますよね。
さあ、皆さんも一緒に、日々の小さな「?」から学びを始め、変化を力に変えていきませんか? 私たちの持つ経験と、新しい学びを掛け合わせれば、きっともっと素晴らしいケアが実現できるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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持続吸引器/排唾管
口腔内の唾液を24時間持続的に吸引できる専用機器。唾液による肺炎リスクを下げ、夜間の介助負担も大幅に軽減します。常に口腔内に当たる吸引口の先端部分には既成のプラスチックパーツがついていますが、利用者さまによってはその硬さや大きさに違和感がある場合もあります。そこでMCでは、形や素材を手作りで工夫し、一人ひとりの好みに合わせた快適な使用感の実現を目指しています。
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MOMO
わずかな腕の力でも、滑らかで安定した動作ができるように支持する上肢装具。テーブルや台に固定して、上から腕を乗せて使用します。食事や読書、字を書いたり絵を描いたり、PCやタブレット端末を使ったりなど、利用者さまが日常生活の中で一人で自由に取り組めることを増やせるようサポートします。
意思伝達装置/OriHime eye+Switch
視線やわずかな動きで思いを言葉に変える、社会参加を実現する革新的な意思伝達装置。視線入力やスイッチ入力で文字を選び、合成音声でスピーチができるため、ALSなどの神経難病の方々も自由に意思を伝えられます。家族や介護者とのコミュニケーションはもちろん、テレビ操作やインターネット利用など、日常生活の多くの場面で活用可能。OriHemeにはカメラやマイク、スピーカーが搭載されており、周囲を見渡したり、会話にリアクションするなどその場にいるようなコミュニケーションを実現し、生活の質を大きく向上させる可能性を秘めています。
好きなものを食べられる、飲める(経口、胃ろう)
利用者さまの食べたいもの・飲みたいものをできるだけ実現させるため、さまざまな工夫を取り入れています。気管切開を行い人工呼吸器を使っている利用者さまでも、食事やスイーツなどを食べやすい形状にしてお口で味わうことや、胃ろうを通してアルコールを摂取することが可能です。「胃ろうからお酒?」と驚かれるかもしれませんが、MCではできる限り利用者さまのご希望に沿えるよう、体調と相談しながら柔軟な対応を行っています。
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