もう自分を責めないで。介護で心が折れそうな時に知ってほしい「心の余裕」の作り方

「私が介入したから、かえって状態が悪くなってしまったんじゃないか…」
神経難病の方の介護に携わる中で、先の見えない不安や、計画通りに進まない現実に、心が押しつぶされそうになる瞬間。良かれと思って伝えたことが、ご本人には受け入れてもらえないもどかしさ。
大切に思うからこそ、つい焦ってしまったり、無力感に苛まれたり…そんな経験に、静かに頷いているご家族の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、どうかご自身を一人で責めないでください。
その葛藤は、あなたが真剣に向き合っている証拠です。この記事では、そんなあなたの心を少しでも軽くし、明日へ向かう「前向きな力」を取り戻すための、私たちケアのプロが実践している「心の余裕」の作り方をご紹介します。
目次
「もっと良くなってほしい」という一心で、過去の経験から「こうした方が良い」と提案しても、ご本人に納得していただけないことがあります。そんな時、私たちはつい「なぜ分かってくれないんだ」と感情的になりがちです。
しかし、一度立ち止まって考えてみてください。
私たちは多くの経験から物事を判断しますが、ご本人にとっては、それが「初めて直面する局面」なのかもしれません。見ている景色も、感じている不安も、持っている「物差し」も、全く違うのです。
この「物差しは人それぞれ違う」という事実を受け入れること。それが、穏やかな関係性を築くための第一歩です。大切なのは「自分がこうしたい」ではなく、「相手の方が、今どうしたいか」を考えること。私たちは、その想いを共有してくれる先輩や同僚と話し合うことで、一人では気づけなかった視点を得て、利用者様と接する心に余裕を取り戻してきました。
その上で、予測不能な毎日の中に「心の余裕」を生み出す、具体的な2つの工夫をご紹介します。
「時間の貯金」とは、余裕がある時に少しだけ未来のために動いておくことで、いざという時の心の負担を軽くする考え方です。
「そんな時間ないよ」と思われるかもしれません。だからこそ、専門家の力を借りてみませんか?
当社は、単に入居された方を支えるだけではありません。ご家族の「心の余裕」という名の時間を貯金するパートナーです。
介護を専門家に任せることは、決して手抜きではありません。ご家族が笑顔でいるための、賢い選択なのです。
病状の変化は予測が難しいものです。立てていた予定が急に変更になるたびに、気持ちが張り詰めてしまうのは当然のこと。
そんな時に備えて、あらかじめ「もし〇〇が起きたら、こうする」という第二パターンを、私たち専門家と一緒に準備しておきませんか?それは、もしもの時の「心の保険」になります。
「時間の貯金」も「第二パターン」も、すべてはご本人とご家族の「こうしたい」という願いを諦めないための工夫です。私たち株式会社MCの「チームケア」が、その想いを形にした事例を少しだけご紹介させてください。
「お餅が食べたい」
毎年、その願いを聞くたびに、私たちのスタッフは「危ないから」と自分に言い聞かせ、利用者様の想いを断ってきました。その罪悪感と無力感に、ずっと胸を痛めていました。
しかし、ある年、そのスタッフの中で何かが変わります。 「なぜだか今年はその思いが抑えきれず」 彼女は、諦めきれないその気持ちを、勇気を出して同僚に打ち明けました。すると、返ってきたのは意外な言葉でした。
「良いじゃないですか!食べさせてあげましょうよ!!」
看護師からの力強いその一言が、空気を一変させました。 「危ないからできない」という思考停止から、「どうすれば安全にできるか?」という、創造的な挑戦へのスイッチが入った瞬間でした。それはまさに、私たちの会社が何よりも大切にしている「できない理由を探すのではなく、どうやったらできるのかを考える」という理念が、チームに宿った瞬間でもありました。
その強い願いを叶えるため、介護・看護・リハビリの多職種チームが集結。嚥下状態を慎重に評価し、小さく切って柔らかくしたお汁粉餅を準備する。細心の注意を払って提供したとき、利用者様は「やっぱりお餅は美味しいねぇ」と涙を流して喜んでくださいました。
「お父さんのいつもの椅子に座りたい」。
人工呼吸器を装着された利用者様のその切なる願い。そして、「人工呼吸器だから無理」とご家族も諦めかけていた願い。
ご家族にもご協力いただき、多職種で見守りながらダイニングへの移動を実現しました。ダイニングの「お父さんのいつもの椅子」への移乗を実現しました。「当たり前の日常を少し取り戻せた」と誇らしげに微笑むご本人とご家族の笑顔は、私たちの何よりの宝物です。
これらの挑戦を支えているのは、テクニックだけではありません。利用者様一人ひとりと向き合う、私たちの根本的な姿勢です。
「もう何もできなくなってしまう…」と涙される時、私たちはすぐに解決策を提示しません。「つらいですね。不安でいっぱいになりますよね」と、まずその感情を共有し、お話に耳を傾けます。「分かってくれる人」がいる安心感が、前を向く力になると信じているからです。
病状の進行で言葉を発するのが難しくなっても、私たちは諦めません。指差し文字盤、透明文字盤、ボイス・レトリーバー、噛むスイッチ、eeyes、伝の心、マクトス…。あらゆるツールを駆使して、あなたの「伝えたい」という想いを汲み取ります。
以前、コミュニケーション機器を通して、亡くなった利用者様がご家族へ遺した「今まで支えてくれてありがとう」という感謝のメッセージをお伝えしたことがあります。その場にいたご家族も、私たち職員も、涙が止まりませんでした。
言葉にならない想いが通じ合い、「ありがとう」が響き合う瞬間。これこそが、私たちが築きたいと願う、何物にも代えがたい「信頼と繋がり」なのです。
もし今、あなたが「もう無理かもしれない」と一人で抱え込んでいるなら、どうか私たちの物語を思い出してください。あなたには、その想いを分かち合い、一緒に未来を考える場所があります。
私たちは、あなたの「こうしたい」を諦めません。 できない理由を探すより、「どうすればできるか」を、あなたと一緒に考えさせてください。予測できない状況でも、常に「どうしたらできるか」を考え、寄り添い、実現するのが私たちのチームケアです。
心の余裕を少しでも取り戻せるよう、私たちにそのお手伝いをさせていただけませんか。どうぞ、お気軽にご相談ください。
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