2023年3月18日

看護倫理の7原則とは?意味と覚え方をわかりやすく解説|善行・無危害・正義・自律

この記事では、看護倫理の基本的な概念や重要性、レポート作成・実習ですぐに役立つ「7つの倫理原則」について、具体例を交えて解説します。看護部にて行われた勉強会を参考に、看護師に倫理がなぜ必要なのか、利用者と接する上で必要な能力とはなにかを取り上げていきます。

この記事を読み終わる頃には自分の価値観を見つめ直し、相手の心を看ることができる考え方を知ることができます。
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看護倫理とは?道徳や法律との違い

人として守るべき道であり、どのような行為が正しいか示すものとなります。

日本看護協会の資料がわかりやすかったので引用させていただきます。

出典:公益社団法人日本看護協会

 

つまり、人々が生活する上での道徳的な指針や基準を提供することです。特に医療職においては、倫理が重要な役割を果たしています。

 

看護師に求められる看護倫理とは

 

看護師は利用者と密に関わるため、利用者に対して適切なケアを提供する必要があります。そのためには高い倫理観を持つことが求められます。看護倫理は、看護師の職業倫理として位置づけられ、看護師が利用者や家族と関係を築くための基盤となっています。

 

倫理と道徳の違い

 

“道徳は「道」と「徳」からなるが、この場合の「道」とは世の中で人が従うべき道のことであり、「徳」とはそれを体得した状態のことである。

出典:コトバンク

つまり、人のふみ行うべき道であり、一般的な常識とされています。

倫理と道徳は大きな違いがありませんが、道徳には答えがなく、倫理には原則があります。

(小学校の時に道徳(生活)の授業があったと思いますが、そこでは自由に意見が出て、正解不正解はなかったと思います。)

 

倫理と法の違い

 

法とは“事物の一定の秩序を支配するもの。物事の普遍的なありかた。法則。

出典:コトバンク

つまり、どのような行為が正しくないかを示すものとなっており、どのような行為が正しいかを示す倫理とは異なる規範となっています。

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自分の「看護観」を見つける価値観ワーク

 

自分の大切にしていることや物を知ることで、大切にしている価値観を知ることができます。利用者様の価値観を知るにはまず己を知ることが大切となります。

 

自分の大切にしている価値観を知っていますか?

 

 

ステップ1:上の表を見てパッと目についた自分が大切にしたい価値を15個見つけてください

ステップ2:先程見つけた大切な価値の中から10個に絞ってください。

ステップ3:更に大切な価値を5個に絞ってください。

自分が大切にしているものがわかりましたか?最後にもう一度見直してみると、自分が大切と思っていたはずだけど見落としていたものもあるかもしれません。しかし、いま大切な価値と思ったものを忘れないようにしてください。

 

価値観をつなげて文章にする

 

先程のステップ3で5個の大切な価値に絞りました。その5個の言葉を使って文章を作成してください。

そうすることで、自分の大切な価値観を知ることができます。

また、家族や友人、同僚と話し合うことで、同じ言葉でも、色々な意味があり、色々な捉え方、色々な伝え方をしている事を知ることができます。

 

看護倫理の7原則(フライの原則)の意味と具体例

近年は病院で医療を完結せず、地域で医療を行うように転換が進んできました。その為、看護師の活躍する場が拡大しました。しかし、どこで働いていても看護師は看護倫理の原則を守り、倫理的に正しい判断をするための行動指針となります。以下のものが看護論理原則をまとめた7原則となります。

1. 自律尊重の原則(Respect for Autonomy)

患者様や利用者様を「自己決定権を持つ自律した存在」として尊重することです。

  • 意味: 自分の治療方針やケアの内容、生き方を、他人から強制されずに自分自身で決定する権利を守ること。
  • 現場での具体例:
    • インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)を徹底する。
    • 「治療を受けない」という患者様の選択や、生活スタイルへのこだわりを否定せずに尊重する。
    • 認知症の方であっても、できる限りご本人の意思や好みを汲み取ってケアに反映する。

2. 善行の原則(Beneficence)

患者様や利用者様にとっての「利益(メリット)」となる行動をとることです。

  • 意味: 相手のために最善を尽くし、幸福や安寧をもたらすように働きかけること。
  • 現場での具体例:
    • 苦痛や不安を取り除くための緩和ケアや声掛けを行う。
    • リハビリによって身体機能の維持・向上を支援する。
    • 利用者様の希望する「最期の過ごし方」を実現するために環境を整える。

3. 無危害の原則(Non-maleficence)

患者様や利用者様に「害(デメリット)」を与えないことです。

  • 意味: 身体的・精神的な危害を及ぼさない、またはそのリスクを最小限に抑えること。
  • 現場での具体例:
    • 医療事故や投薬ミスを防ぐためのダブルチェックを徹底する。
    • 転倒・転落などの事故防止対策を行う。
    • 治療に伴う副作用や苦痛が、その効果(利益)を上回らないか常に検討する。

4. 正義の原則(Justice)

すべての人を公平・平等に扱うことです。

  • 意味: 社会的地位、経済状況、性格、信条などに関わらず、医療資源やケアを公平に配分すること。
  • 現場での具体例:
    • 「気に入っている患者様だから優しくする」「苦手な人だから後回しにする」といった差別をしない。
    • 緊急度や重症度に基づいて、公平に治療の優先順位(トリアージ)を判断する。
    • 必要なケアを、必要な人に過不足なく提供する。

5. 誠実の原則(Veracity)

嘘をつかず、真実を伝えることです。

  • 意味: 相手を欺かず、誠実な態度でコミュニケーションをとること。
  • 現場での具体例:
    • たとえ悪い知らせ(病状の悪化など)であっても、ご本人やご家族に隠さず、正確かつ配慮を持って伝える。
    • 自分のミスを隠蔽せず、正直に報告・謝罪する。
    • わからないことを適当に答えず、「確認してまいります」と誠実に対応する。

6. 忠誠の原則(Fidelity)

約束を守り、信頼関係を維持することです。

  • 意味: 専門職としての義務を果たし、患者様との信頼を裏切らないこと。守秘義務もこれに含まれます。
  • 現場での具体例:
    • 「あとで伺います」と伝えたら、必ず約束の時間に訪室する。
    • 業務上で知り得た個人情報(プライバシー)を、許可なく第三者に漏らさない。
    • 最期まで見捨てずにケアを続けるという姿勢を示す。

7. 効用の原則(Utility)

行動の結果として得られる「幸福」や「利益」を最大化することです。

  • 意味: 限られた資源の中で、最も多くの人にとって良い結果になるように判断すること。倫理的なジレンマが生じた際の調整役となる考え方です。
  • 現場での具体例:
    • 災害時など、限られた医療スタッフや物資をどのように配分すれば、最も多くの命を救えるかを判断する。
    • リスクとベネフィット(利益)を天秤にかけ、トータルで見て最も良い結果になる治療法を選択する。

 

なぜ看護師に高い倫理観が求められるのか

 

利用者様と密に接する看護師には倫理的判断を求められることが多くあります。その為、看護師は他人の感情の中に自己を投入する能力や認識された像を見つめる能力が大切になります。

人の数ほど価値観があることを認識しなければなりません。自分の価値観と違うからと否定や批判をしてはいけません。価値観は今まで生きてきた人生で構築されたものであり、希望が含まれています。

そのためには、利用者様と自分は何を大切にしているかを知る必要があります。人によって大切にしているものが違うと認識することで、自分の意見を押し付けるのではなく、相手を尊重した意思決定支援を行うことができるようになります。

 

まとめ:倫理観を養い、心を看る看護を

看護倫理を知ることですこしでも利用者様との接し方の一助になれば幸いです。

まずは自分の大切なものを知ることで、客観的に利用者様と接する事ができるようになります。

利用者様の心を看るために自分を知り、自分の価値観を押し付けない対応をできるように心がけていきましょう。

看護部はこれからも

「心を看る~自分を見つめ、他者を理解する~」

を実現させていきたいです。

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