2018年6月8日

日本神経学会学術大会に参加して~理学療法士の視点~

5月25日~26日まで、日本神経学会学術大会に参加をさせて頂きました。その中で、大変興味深い発表がありましたので、ご報告させて頂きます。

私たちが働く施設はでは、カフアシスト(MI-E70)と呼ばれる排痰補助装置を主に神経難病の利用者に日常的に活用し、排痰促進と肺・胸郭のストレッチを図っています。カフアシストは咳をする力が弱化した利用者に適応があるとされていて、咳や痰を出すために有効とされる270L/minという速度を得られるような設定で行うことが推奨されています。施設でのカフアシストの設定は上記にならった設定で行っています。

その他に、肺・胸の筋肉のストレッチを図る手段として、アンビューバックを用いて肺に最大吸気を促し、肺・胸の筋肉のストレッチを促すMICの訓練(息だめができる方に最大強制吸気を促す方法)やLICの訓練(気管切開後または、気管切開前でも息だめができなくなった際に最大強制吸気を促す方法)を施設に導入し、リハビリスタッフが呼吸リハビリを行っています。MICやLICでは、肺・胸の筋肉のストレッチを通して、呼吸機能が低下した神経難病の利用者にも肺活量や肺の容積の維持が期待できます。通常は病院などで肺活量の検査などで調べる最大吸気量(肺の容量)を私たちの施設にある簡易流量計を用いれば測定することができます。さまざまな研究でも、肺のストレッチにMICやLICは有効であると報告されています。

今回の発表で“ALSの方にLICを用いてカフアシストの設定を行う”という研究報告がありました。これは、カフアシストに期待される肺・胸の筋肉のストレッチ効果を最大に得るために、LICで得た最大吸気量の情報を参考にカフアシストの設定を行い、最大深呼吸(最大吸気)を促すという報告でした。つまり、カフアシストの効果である、排痰の促進と肺・胸の筋肉のストレッチを両者共に最大限発揮させた試みでした。

私たちもこの発表にならって、LICを用いてカフアシストの効果を最大限に生かすことを試みたいと思います。その一歩として、まず当施設での呼吸リハビリの一環としてMIC・LICを充実させていきたいです。現状、当施設でMIC・LICを使用している利用者は少ないため対象者を増やしていこうと思います。MIC・LICは呼吸障害の重症度を問わず適応があるため、積極的に活用していくべきです。日常的に行っているカフアシストにLICで得た最大吸気量を設定し、効果を最大限生かした状態で利用者へ提供できると、リハビリ以外でも日常的に肺活量・肺の容積の維持が期待できると考えます。

今年の4月より私たちの施設のリハビリスタッフが増えました。他職種連携やリハビリの質を深めている中、今回のMIC・LICの充実を図るだけでなく、その継続的な効果を追っていきたいと思います。

以上

文責:リハビリ 権丈美純

関連タグの新着記事

リハビリ

もっと見る

2025年2月19日

ロホクッションとは?介護・リハビリ現場から日常生活まで支える安心クッション

  • リハビリ
  • みさとヴィラ
  • みさとノイエ
  • 神経難病
  • ALS

2025年2月15日

車椅子「ネッティ」:快適性と多様なニーズへの対応

  • リハビリ
  • みさとヴィラ
  • みさとノイエ
  • 神経難病

みさとヴィラ

もっと見る

2025年7月5日

“遠回り”と“自己満足”の先に見た光。ある施設長が目指す『いつでも傍に居る』介護とは

  • みさとヴィラ
  • 働き方
  • 看護
  • 介護
  • 施設管理

2025年6月25日

もう自分を責めないで。介護で心が折れそうな時に知ってほしい「心の余裕」の作り方

  • MCについて
  • みさとヴィラ
  • みさとノイエ
  • 働き方
  • 事務局

イベント

もっと見る

2025年9月1日

「なぜ?」を「なるほど!」に。ワタキューセイモア様の仕事を知ることで、私たちの現場はもっと強くなる。

  • イベント
  • カルチャー
  • コミュニケーション

2024年11月26日

猫ちゃんが遊びに!?ふわふわの癒やしパワー!アニマルセラピーで笑顔あふれる

  • 施設・入居
  • みさとノイエ
  • イベント
  • カルチャー

MCライブラリー

もっと見る

お出かけ

動くことが困難な利用者さまにとって、外出は最高の気分転換。施設周辺でのお散歩はもちろん、近隣のコンビニやスーパーへのお買い物、車で少し遠出をして紅葉やお祭りを見に行ったりなど、さまざまな場所で楽しい時間を過ごしています。呼吸器などの医療機器をつけたままでも、スタッフが付き添い適切なケアを行うので、安心してお出かけいただけます。

関連ページ

施設・入居について
お知らせ

マクトス

音声や文字によるコミュニケーションが困難な方のための支援機器。筋電、眼電、脳波などの生体信号を検知し、設定した値(閾値)を超える信号を検知すると、スイッチ操作やコールが鳴るように設定できます。指の動きや視線の動き、瞬きなどが難しくなった方も、家族やスタッフとのコミュニケーションを取ることが可能です。

関連ページ

MOMO

わずかな腕の力でも、滑らかで安定した動作ができるように支持する上肢装具。テーブルや台に固定して、上から腕を乗せて使用します。食事や読書、字を書いたり絵を描いたり、PCやタブレット端末を使ったりなど、利用者さまが日常生活の中で一人で自由に取り組めることを増やせるようサポートします。

グランドフリッチャー

ティルティング機構(姿勢を維持したまま座面ごと角度を変えて、お尻や太ももにかかる体重を背中や腰へ分散させる)とリクライニング機構(背もたれの角度を変える)が一体になった多機能型の車椅子。人工呼吸器も搭載可能で、快適に日々の外出を楽しめます。

関連ページ

採用について

株式会社MCでは新卒採用、キャリア採用、アルバイト・パート採用を行っております。
募集職種など詳しくは採用情報をご確認ください。

お問い合わせ窓口

採用について、施設への入居についてなど、株式会社MCへのお問い合わせは下記より承っております。

電話:048-999-5858

電話受付時間:9:00〜17:00(月曜日~金曜日)
FAX:048-999-5827