2022年6月3日

カフアシストやMIC&LICの練習~リハビリ科内情報共有会(勉強会)~

カフアシストやLICの練習~リハビリ科内情報共有会(勉強会)~

神経筋疾患の呼吸療法を知る事で利用者さんにとってQOLが維持、向上するとされています。

その為、本日のリハビリ科内の情報共有会は最大強制吸気量(maximum insufflation capacity:MIC)を得るために、一方向弁を用いた最大強制吸気容量(lung insufflation capacity:LIC)やカフアシスト(mechanical insufflation exsufflation:MI-E)などの呼吸リハビリに関する知識や技術を向上する事を目的に行いました。

神経筋疾患の進行により肺活量が低下すると言われており、他動的に行う深呼吸により肺胸郭の可動性の維持が重要であると言われています。

神経筋疾患に対する呼吸理学療法の目的に気道浄化があります。

さらにその手技は、咳の強化 痰の移動 に分かれます。

今回の呼吸リハビリの目的としては

  1. 咳の強化として吸気補助となります。
  2. カフアシストに関してはさらに吸気と呼気補助となります。

神経筋疾患に対する呼吸リハビリは病院でも行っている所は稀であり、当施設でそういった呼吸リハビリに対する知識や技術を教わっていない、新入職員の能力の向上を図ることを目標に開催しました。

また、教える職員もアウトプットする事で知識の再確認する事ができました。

具体的にはMICやLICではバックバルブマスク(アンビューバック)とフィルター、フレックスチューブ、マスク、圧測定器、ハロースケールライトレスピロメーター、LICの場合はさらにリリーフ弁につけるチューブを用いて、3-4回加圧(圧40mmHg以内)、5秒間息ためし、排気します。

(深呼吸より沢山空気を吸い込む感じです)

(LICトレーナーやハロースケールレスピロメーターを持っている施設はなかなか珍しいと思います)

最初はなかなかアンビューバックによる陽圧に慣れる為少ない圧で少ない回数行います。

徐々に、圧と回数を増やしてMICに近づけるように行っていきます。

※自力での肺活量との差を1000ml以上に維持できることで予後が良好とも示されています。

MI-EはカフアシストE70、チューブ、マスクを用いて行いました。MIC、LICとの違いとしては、陽圧だけではなく陰圧もあるところです。

(空気を送り込まれた後、吸われる感じです)

新入職員が実際にアンビューバックを押すことに対してもあまりやったことが無く、難しく感じていたようです。また、マスクの当て方も、当てるのが弱いと漏れるし、強いと痛いしと苦戦していました。

しかし、最終的には成人男性の肺活量といわれる3000-4000mlまで行う事ができていました。

最大肺活量を経験しましたことで、実際はこんなに大変なのかと分かる事ができたようです。

カフアシストでは空気を吸われる感じで気道の分泌物の動きを感じたようです。

以下実際に体験した職員の意見となります。

介助者役

・サポートする難しさ

(空気が漏れないように押さえ、タイミングを見てアンビューを押す)

利用者様役

・慣れないと苦しい

・空気の入ってくるタイミングが分からない・・・

実際に体験をすることで、呼吸リハビリの知識だけでなく、利用者の立場も知る事ができました。

これからもどんどん成長し、スタッフも ”ここにきて良かった” と思えるようになっていければと思います。

 

【使用物品】

  • アンビューバック
  • チューブLICトレーナー(カーターテクノロジーズ株式会社)
  • フレックスチューブ
  • ソフトフェイスマスク
  • 圧測定器
  • ハロースケール
  • レスピロメーター(nSpire Health Ltd)
  • カフアシストE70(Philips)

 

参考文献

  • 中山優季 原田さをり:神経筋疾患の呼吸療法に関する近年の問題点.人工呼吸Jpn J Respir Care.2020;37:151-157
  • Bedard ME,Mckim DA:Daytime mouthpiece for continuous noninvasive ventilation in individuals with amyotrophic lateral sclerosis.Respir Care.2016;61:1341-8.
  • 秋田賢:ALS患者に対する蘇生バックを用いた呼吸理学療法,第52回日本理学療法学術大会(千葉)
  • 齋藤弘:ALS患者に対するMICトレーニングがPCFに及ぼす影響,第50回日本理学療法学術大会(東京)

 

 

※感染予防対策を徹底したうえで行っております。

 

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