2024年10月24日
11月16~17日に岡山で開催された日本難病医療ネットワーク学会学術集会に参加させていただきました。
今まで学会というと「介護職である自分には無縁のもの。」『聞いても訳のわからない難しい話ばかりで参加することのない遠い世界のもの。』と考えていました。そんな私に学会に参加する機会を与えていただいたき感謝しております。
しかし、実際に参加してみるとやはり難しい事もありましたが、難病治療の現状や今後への期待、栄養の大切さや気管切開への患者様の想い、全国の各施設や在宅での取り組み等、介護職である自分にも共感できる内容が多く学会参加という気持ちの面での高いハードルが一気に下がった思いでした。
昨今の全国各地で起こっている災害についての内容も多く、中川(河川)の傍に立つ当施設においても早急にしっかりとした災害対策を考えていかなくてはいけないという施設全体の大きな課題も見つかりました。
今回の学会ではたくさんの刺激や多くの情報を得ることが出来ましたが、その中でも私の中で特に深く残ったシンポジウムをご紹介したいと思います。
「難病患者の思い!現状と未来」という患者団体シンポジウムで、膠原病と診断され不安な毎日を過ごされている方々の今の声を聞くことが出来ました。
発達障害のあるお子様をお一人で育てている最中に体調の変化があり、膠原病からの多発性筋炎と診断された方は、原因が分からない日々の中で身体だけでなく精神的にも大きなダメージを負ってしまいパニック障害になってしまったそうです。お子様との生活を守るために働かなくてはならず、無理をして症状が悪化しても見た目では分からないため痛みや辛さも周囲の理解を得られず孤立し追い詰められてしまったそうです。膠原病と診断された時には体の痛みで起き上がることもできず、難病という現実で涙が止まらず先生の話も良く分からないまま途中で診察室を出たそうです。また、診察時に自分の不安や痛みを口にした時のドクターの心無い言葉や小さなしぐさが彼女を余計に傷つけたという現実もあったようです。「たとえ多くの難病患者を診ているドクターであっても患者にとって難病は初めての事であり想いを受け止め誠実に対応してほしい。」という言葉に多くの難病の方々のケアをしている介護職である私達もふとすれば同じ思いをさせてしまっているのではないかと反省をしました。また、社会復帰をするにも「体調が落ち着いたら。」と言われ、いつ落ち着くのか、いつ社会復帰できるかもわからない不安やもどかしさ、痛みや苦しみの中で毎日を過ごす気持ちはどれほどだろうと思うと涙が出てしまいました。
もうお一人は膠原病から成人スチル病を発症され追い詰められ何度も死を考える中でご家族に「居てくれるだけで良いから。」と言われ辛いながらも救われたそうです。
お二人とも現在は体調も落ち着かれご自分の社会復帰を目指すとともに、同じ病気に苦しむ患者様の力になれればとピアサポーターとして活動をされており、現にお二人ともご自分が辛いときに大きな力になって支えてくれたのがピアサポーターだったそうです。
ピアサポートや家族会が患者様ご本人やご家族様にとってどれほど大きな支えになっているものか、その重要性も再認識しました。
サポートハウスみさとヴィラでは、施設での生活が難しいと言われがちな難病の方々に積極的にご入居いただいております。ですが、当施設へご入居される方は発症後、あるいは診断後からある程度の時間を経てからの方が多く、ご本人様やご家族様ともに葛藤はしながらも少しずつ病への受容が出来始めています。私達は身体の変化を疑い始めた頃や難病と診断された時の不安や孤独、絶望感を少し落ち着かれた後から伺うことになります。当然、進行性の難病の方々は日々、大きな不安の中で今自分の身体の中で起きていることを理解し、受け止める努力をしながら生活をされていることと思います。しかし、そこに至るまでの精神的・肉体的ダメージの大きさは私達には想像すらできないものであるはずです。
不安の中で辛くて泣きたい日も、小さなことでイライラしてしまう日も当然あるでしょう。ご家族に勝る存在にはなれませんが生活を支える者として、少しでもご本人の想いに近い生活を送っていただきたいと考えています。
介護は入居者様と毎日一番近くで深く関わることのできる有難い部署であります。
お一人、お一人の本当の想いを引出し、それを一番に考えご家族と共に寄り添い、当施設の強みでもある他職種との連携・協力をさらに円滑に行えるよう思いを新たにし、日々の関わりの大切さを改めて考える良い機会を与えていただきました。
また今後、介護職員にも積極的に学会などに参加する機会を作り、自分たちの行っている介護が素晴らしい仕事であると自信が持てるようサポートしていきたいと考えます。
MC訪問介護センター 小菅 恵美
第6回 学会賞受賞者
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