2024年10月25日
目次
はじめに-変革の先にある使命-
東京都大田区に拠点を構える社会福祉法人 有隣協会は、戦後の1953年に設立され、令和5年に70周年を迎えられました。70年という長い年月にわたり生活困窮者や高齢者支援に尽力してきました。協会の会議室に掲げられた理念「徳は孤ならず、必ず隣あり」は、時代を超えて今も息づいています。しかし、時代の変化に伴い、福祉の現場にも取り組みが求められています。
「社会福祉法人も、もはや競争社会の外にいるわけではありません。だからこそ、人事評価制度の改革とDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進が必要なのです」と、理事長は語ります。守りながらも、未来に向けた適応が必須であるという切迫感がこめられています。
DXに関してはぜひこちらの記事を御覧ください。
社会福祉法人とは?
社会福祉法において社会福祉法人とは、「社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人」と定義されています。
引用:厚生労働省
国や地方自治体からの認可を受けて設立され、主に高齢者、障害者、児童、生活困窮者など、社会的に支援を必要とする人々に対して福祉サービスを提供しています。社会福祉法人は、営利を追求せず、地域社会の福祉向上を目的としており、その活動資金は主に国や自治体からの助成金や寄付、利用者からの料金でまかなわれています。
事業内容
社会福祉法人は主に以下の事業を行うことができます。
- 主に入所施設サービスの第1種社会福祉事業(特別養護老人ホーム、障害者支援施設など)
- 主に在宅サービスの第2種社会福祉事業(保育所、訪問介護など)
- 社会福祉と関連のある公益目的の事業(介護保険法に基づく居宅サービス事業、有料老人ホームの経営など)
- 収益を社会福祉事業や公益事業にあてることを条件に認められる事業(不動産の貸付、駐車場の経営など)
ただし、公益事業と、収益事業は社会福祉事業に対して従たる位置づけである必要があります。これらの事業を通して高齢者や、子供、障害者、生活困窮者など様々な福祉ニーズを持つ人々の生活を24時間365日支える重要な役割を担っています。
また、社会福祉法人は、公益性と透明性が求められるため、法人の運営には厳格なルールが設けられており、定期的に会計報告や運営状況を公表する義務があります。また、理事会による運営管理が行われ、社会福祉に関わる専門的なスタッフが多く働いています。
有隣協会様は生活困窮者の支援や高齢者支援、地域支援など幅広い分野の社会福祉事業に精力的に取り組んでいます。
人事評価制度の革新-点数化から「職員の特性」へ-
福祉の現場では、数値化された評価だけでは測れない人間性や「思い」が重要です。有隣協会の施設長の肥後さんは、「これまでの評価制度は、数値化によるもので、特に福祉の現場ではそぐわない部分が多かった」と振り返ります。福祉職員が利用者にどれだけ心を配っているか、その気持ちは数字では表せません。評価するうえで皆様が特に重要と思われていたのは納得感でした。
新しい評価制度では、「職員の特性」を中心に評価する仕組みを取り入れていきたいと話されていました。会社が決めた評価だけでなく、職員一人ひとりが「自分で決めた目標に取り組めているか」「自分の成長があるか」といった具体的な行動や姿勢に基づき評価されます。これにより、個々の職員の人間性や成長を見逃さずに評価する体制を現在整えているとのことでした。
ケアマネージャーとして日々現場にも入りながら、管理者として勤務している埴生さんは、「目標を自己設定した方が個々のモチベーション向上に繋がり、その目標にどれだけ到達したかどうかを評価する方が、評価する側、される側も分かりやすいのではないか。」「この新たな評価システムが、職員たちのモチベーションを向上させ、組織全体の成長へとつながっていくと強く思います。」とのことでした。
DX推進-福祉とテクノロジーの共存-
デジタル化の波は、福祉業界にも押し寄せていますが、DX推進には依然として大きな挑戦が伴います。有隣協会では、業務効率化を目指してペーパーレス化や遠隔研修の導入などを進めていますが、職員たちの間には、ITへの不安や抵抗感もあります。
「紙の記録がなくなることに対する不安や、タブレットへの移行に抵抗がありました」と語るのは、埴生さん。高齢の職員を含む現場では、「デジタルの冷たさ」を感じる声も少なくありません。
しかし、有隣協会のDX推進は「人間らしさ」を失わないことを重視しています。たとえば、新しく導入する際は「みんなに理解してもらうために尽力をつくす」と事務局統括主任の田中さんは語る。以前は紙でやり取りが多くありましたが、タブレットで行う際に説明を行い、指示系統を1本化するなどルールが徹底されています。また、AIを活用した記録作成の効率化も検討されていますが、「最終的な判断は必ず人間が行う」という方針が守られています。
「技術は福祉の本質を奪うものではなく、私たちの仕事をより良くする手段です」と、センター長の吉田さんはDXの意義を強調します。デジタル化により、報告業務が効率化され、職員の負担が減り、その分利用者との時間を増やすことができるようになると、職員たちは期待を寄せています。
理事長は「業務効率をすすめて、法人運営にかかわってほしい」と語る。そして、仕事は楽しいものであり、与えられた仕事ではなく、みんなで会社を動かしていきたいと今後の未来について考えています。
改革の成果-温かい福祉の未来を目指して-
有隣協会での人事評価改革とDX推進の取り組みは、着実に成果を上げ始めています。「職員同士で自己の成長や仕事の意義について考える機会が増えた」と田中さんは語り、評価制度が単なる査定ではなく、成長のためのツールとなっていることを示しています。また、デジタル化により、「Zoomで研修を受けることで、移動時間を短縮できた」と職員が喜びを口にします。
しかし、課題もまだ残されています。特に、世代間のギャップや「技術と人間性のバランス」をどのようにとるかは、今後も取り組むべき重要なテーマです。
未来への展望-新しい福祉のスタンダードへ-
理事長は、「私たちの挑戦はまだ始まったばかり。しかし、この取り組みが、社会福祉全体の新しいスタンダードになる日が来ると信じています」と力強く語ります。有隣協会の改革は、単に業務の効率化を目指すだけでなく、職員の成長と利用者との関係を深めるための取り組みでもあります。
まとめ
社会福祉法人 有隣協会は、時代の変化とともに、福祉の現場における人事評価制度の見直しとDX推進という挑戦に取り組んでいます。「職員の特性」を重視した評価制度と、デジタル技術を駆使しながらも人間性を守る姿勢は、福祉の未来を照らす新しい光です。これからの福祉の在り方を示すこの挑戦に、今後も注目が集まります。
株式会社MCの理念として「人の思いを実現できる会社」を掲げています。有隣協会様と共に一人ひとりが成長し続け、思いを実現できるようにこれからもご協力をよろしくお願いいたします。
今回は貴重なお時間をいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
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